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武満 徹氏の音楽を、最近よく聞くようになりました。

 武満氏の音楽に出会ったのは、高校生の時です。
NHKで未来への遺産 という、今でいう世界遺産になった建造物や、都市を紹介する
番組で、テーマ曲及び番組全体に、武満氏の曲が流れておりました。

 曲を聞いた瞬間、なんというか、体んなかに音が染み入っていくといえばいいのか、
神秘感の中にも、おさえた情熱を感じるというか。
単純に表現すれば、ビビっと来たわけです。

 武満氏の音楽は、いわゆる現代音楽というジャンルになるんでしょうが、
わしはどうも、大概の現代音楽はピンとこんのです。
どれ聞いても、現代人の孤独と不安、しか表現されとらん、と。
お前がアホじゃけー わからんのじゃ、いろいろ 盛り込んどるで、という意見も
わからんではないですが、音楽聞いてまで、不安になりとうない、とつい、思うて
しまうんです。

 それが武満氏の音楽だけは、そうならん、そこが不思議なんです。
曲を聞いとると、様々な雑念が、洗い流されて精神、肉体ともに、力が湧いてきます。

 しかし、武満氏の音楽で、苦い思い出がひとつ。

わしが大学生の時、同級生のおなごしに、武満 徹音楽全集持っとる子が、
おったんです。
大学に看護婦風の超ミニで現れるという、全身色気攻め、ウェルカム八方美人光線が
眩しい女の子でした。
ナース姿の彼女と、武満全集の取り合わせという意外性に驚きつつ、レコードを是非、
録音させてくれと頼み込み、彼女のアパートに通うことになりました。
レコードを録音している間のBGMは、もちろん彼女の戦果発表&自慢です。
「○○君て、けっこうしつこいんだよね。」
「ふーん、そりゃ以外だなあ。」
という適当な受け答えをしつつ、ともかくこれを全部、録音せんならんと燃えておったんです。
ところが、全集の半分も録音が終わらんうちに、ある日唐突に彼女に、
もう うちこないで、て言われてしもうたんです。
レコード買う金もないし、わしはとっさに 説得しました。
「なんか勘違いされたんかな、わしとあんたは、音楽を通じての友人なんよ。
こんな稀有な友情は、まっこと貴重、失うてはいけん。
男女の間に友情は成り立つ、わしは証明してみせるで。」
と、まあまくし立てたんですが、それ以来 彼女は口すらまともにきいてくれず、
わしの全集録音計画は、あえなく頓挫しました。
今 思えば、彼女のもてたがり、ふりたがりドS心を少しでも、理解しとったらと思います。
レコードは口実、わしの目的はあんたなんじゃあー と一言叫びさえすれば、
たちどころに彼女の、何思い上がってんのと言葉の鞭が振り下ろされ、
録音がすみやかに完了できた? と当時をなつかしむ次第であります。
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