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Emu Arizono、Eru Arizono(HAMADARAKA) 鱗粉奇航

豚色のしわの物語17/1

欠伸の合間にアラスカの氷がたどり着いた
確かに誰かを待ってる筈なのに
遠くへ伸びた糸一つ

マンダリン色した太陽は
もののす姿を隠しては
1㎝ずつ 私をつつむ

炭坑のカナリアが言った
「レモン色した鬼たちが首をかしげて笑ってる
 危ない 危ない そこまでよ」

カチカチチチカカカと喉ならす、月は助けてくれるかしら?

さて太陽までもう少し。
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豚色のしわの物語16/1

雲みたいなカイコが一面中
夜のうぶ毛に横たわっていた
ほんの少しばかりの隙間から
ちょっとの全部がこぼれ落ちてた

唯それだけのこと

大きくて小さくて
小さくて大きくて

ある夜のひとかじりより
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豚色のしわの物語15/1

空が泣いてた8月の夜
涙とお塩がしゃしゃり出て
1本の浮かれた糸をこぼした
ぶらりぶらりと踊る糸の先には、まるで結婚式の電気飾りの様なスーツを纏う
蜘蛛の女の子がくっついていた

 空気の痙攣を感じては10㎝背伸びをし
 小さな水しぶきを感じては20㎝ダイビングをする
 
太ったお腹に不揃いな、かぼそい手手足をうねらせながら
蜘蛛の女の子は無心に浮遊する
瞼がやけどするくらい熱い涙がぽつぽつと
この子の3㎜外径を通り過ぎて行った
 
水平線が苦手なこの子のおしりには
皮肉にも太平洋の夕焼けの一本線がどこまでも遠くのびていた

この子の地球倍程の大きなゼラチンの玉が2つ こちらを見つめている
ぎょっとするくらい生白いその玉は、うすい毛皮をきた肌色の靴をはき
時折ぐるんと一回転して見せた

ピカカッピキキ とゴールのりぼんがこぼれ
あの子とゼラチン体質は
この世に二人きりの色をもつ浮遊体になった

 空が泣いてたあの8月の夜

世にもきれいな悲しみが 唯、ぶらりぶらりと動いていた


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豚色のしわの物語14/1

ひとかじりの水面の日陰に呼ばれました
マンダリンに染められて
まるで夕焼けに着替えたような夢を食べました

今宵はタランチュラの悲しいうぶ毛を拝借して
少しばかり闇がお気に入りになりました

生まれたての豚色のしわを行ったり来たり
生きた迷路の行進と雷姫と入道群のかくれんぼ
 
海は首を30度西にかしげています

ねむたいねむたい
明日も幸せ
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豚色のしわの物語「13/1世紀」

ポーリカ ポーリカ 血が騒ぐ

28年に一度のポルホルギシーの夜に
あたしの皮膚に真っ赤な灯りが灯ります
肌色リンクで3回転

狂リラ 狂リラ 拍手が上がる

鱗でできた衣装から
ポーリカ ポーリカ 止まらない

月夜の涙が落ちてきて
ポーリカ ポーリカ 止まらない

砂糖のカーテンくぐり抜け
アルミのメダルをとりにゆく

ぽつりぽつりと灯りが消えたら
やっと素敵に眠りたい
ウララ皮膚の舞台を後にして
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豚色のしわの物語「12/1世紀」

見えない見えない聞こえない
そんな昨日はぺろりと食べた
恐いものがあるのなら
スショーリスタル 抱きしめて
心臓2時間茹でてみて

ススバデンドゥ?

大きくなった証拠には
見えない涙で充分です

湿度99%
喉が寄り添った真夜中に
永遠偽造に途方にくれるぅ

ススバデンドゥ。

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豚色のしわの物語「11/1世紀」

人間色したたまごが2つ ぷかりぷかりと空気を泳ぐ

あっ
というまに幸せの匂いを残して消えた

右へ左へ脂肪を揺らし
「昨日」なんて知らないよとコタマゴが笑ふ

メレンゲみたいなブラウスをきにかけながら


水平線でも目指すかの様に二人のたまごは一瞬で消えた

小さな毛穴と鯨が出逢ったある暑い午後のお話
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